お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃいさんの競馬の件が連日話題になっていますね。
しっかりと申告及び納税していたじゃいさん。しかし国税庁からの調査で巨額の追徴課税を食らってしまい、借金生活とのこと。
競馬はまったくやらない筆者ですが、ギャンブラーとしてじゃいさんに共感した部分があったので一連の騒動を記事にまとめました。
また、皆さんになじみのない「一時所得」と「雑所得」の違いについて、現行法での競馬が如何に「やばいか」についても記載しています。よければ最後までご覧ください。
Contents
- 1 超高額馬券の的中、払い戻しにより目を付けられた?
- 2 なぜしっかり申告していたのにも関わらず高額追徴課税?
- 3 追徴課税に応じたものの、税制に疑問を呈するじゃいさん
- 4 現行の法律と戦うために、裁判準備と寄付を開始
- 5 まとめ
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超高額馬券の的中、払い戻しにより目を付けられた?
じゃいさんは芸能界きってのギャンブラーで、自身のYouTube(じゃいちゅ〜ぶ)や競馬番組でMCを務めたり、予想動画を配信しています。
自身が競馬大好きを公言しており、競馬業界への貢献度も非常に高いと思われます。
そんなじゃいさん、2020年12月に川崎競馬で馬券を的中させ、6410万6465円の払戻しを受けていました。(2021年3月に自身のYouTubeチャンネルで公表)
しかし、そんなじゃいさんのもとに2021年秋頃、税務署員2名が来訪。じゃいさんは資料提出等に応じており「税金はちゃんと納めているし、競馬で勝ったお金も申告しているので、やましいところはまったくない」と思っていたそうです。
ところが、結果的に税務署からは「マンションが買えるくらい」の追徴課税及び延滞税が来たそうです。
なぜしっかり申告していたのにも関わらず高額追徴課税?
ギャンブル等で勝った場合は主に「一時所得」として申告をする必要があります。
一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」と定義され、具体的には以下のようなものを指します。
①懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
②競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
③生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
④法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
⑤遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
この一時所得の金額は、次のように計算します。
収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額50万円
競馬の場合は「当たり馬券の購入金額」が「収入を得るために支出した金額」として認められます。
逆に言ってしまうと「外れ馬券の購入金額」は、総収入から差し引くことができません。
例えば、競馬で1年間に計250万円の払い戻し(総収入金額)を受けたとします。その各レースで購入した当たり馬券の購入金額(収入を得るために支出した金額)が合計50万円だったら、一時所得金額は
250万円-50万円-特別控除額50万円=150万円
となります。
一時所得の場合、課税されるのは、その半分の金額になります。
今回の例で言うと、150万円の1/2=75万円を給与所得、事業所得などと合算し、確定申告を行います。
じゃいさんは7年前までこの「一時所得」で競馬関連の申告をしていたそうです。
しかし、競馬関連のお仕事が多いじゃんさん。
周りのアドバイスで、じゃいさんの場合は「一時所得」ではなく「雑所得」で申告でいいのでは?と言われ、そのあとは「雑所得」で申告をしていたそうです。
じゃいさんのお仕事と競馬自体、切っても切れない関係ですから「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」に競馬の馬券購入及び、払い戻しは該当する、というような解釈ですね。
「雑所得」の場合、特別控除額50万円はありませんが、必要経費が認められますので、じゃいさんは外れ馬券を経費として算入していたようです。
上記の一時所得の例で、年間200万円、他の馬券(つまり外れ馬券)を買っていたとします。
すると
250万円-50万円-200万円=0万円
となりますので課税されません。これは大きな違いですよね。
結論を言ってしまうと、じゃいさんは「雑所得」で申告していたものの、税務署は「一時所得」だと判断したため、外れ馬券の経費化が認められず、本来申告すべき利益が増大したため、巨額の追徴課税となった、ということです。
ちなみにオンカジの税務申告に関しては上記の記事を参考にしてください。
(競馬において、外れ馬券が経費として認められ「雑所得」と裁判所が認めて例外的な事例もこちらの記事にまとめています)
追徴課税に応じたものの、税制に疑問を呈するじゃいさん
自身のYouTubeで「追徴課税に応じ、奥さん、ご家族に借金して支払った」と話されていました。
そして、そのお金を返してほしいとも思っていないとおっしゃっていました。
(詳しくはじゃいさんのYouTubeでご覧になってほしいのですが、税務署側の都合で結果を待たされた3ヶ月分の延滞税も払え、という圧倒的理不尽な要求にも応じたそうです…)
しかし、ここでじゃんさんは税制に疑問を持ちます。
そもそも競馬というものは、農林水産省管轄で、馬券の買い方によっても異なりますが控除率が75%程度と言われています。
つまり、馬券を買った時点で、その購入額の25%は税金として収めているようなものなんです。
そう考えると競馬って結構やばくないですか?(冷静に考えてドン引きしました)
①馬券購入時に25%を税金として収めている(ようなもの)
②外れ馬券は経費にできない
③高額馬券的中してうはうはな時は納税が必要(勝っても利益が減る)
はい、これ無理ゲーですよね?
上記の例でも分かるように、単発で200万円勝ってそれ以外に年間の負けが200万円、つまり収支としてはプラマイゼロでも75万円には税金がかかってきて納税しなきゃならんのです。つまり、収支がトントンでも結果マイナスになっちゃうんですよね…(公営ギャンブル怖すぎ…)
現行の法律と戦うために、裁判準備と寄付を開始
この事実を知ってしまうと正直怖くて馬券なんて買えないですよね。
じゃいさん自身も「高額な払い戻しと納税が怖くて買えない」という知り合いが大いにいる、とおっしゃっていました。
そこでじゃいさんは、「現行の税制、法律では競馬界のためにならない。競馬界の歴史を変えたい!」と、東京国税不服審判所に申し立てを行ったことを明らかにしました。
「国税不服審判所」とは、税務署長などが行った課税処分(今回の件でいえば、払戻金が一時所得とされたこと)や、差し押さえをはじめとする滞納処分などに納税者が納得のいかない場合に、その審査請求を受け入れ、裁決を行うことを目的に国税庁に設置されている機関です。裁判に訴える前に公の機関に判断を仰げる仕組みで、費用もかかりません。
しかし、じゃいさんの代理弁護人が「現行の法制度では、不服申し立てが通るのはかなり難しい」と述べているように、2020年度の審査請求で納税者の主張が一部でも認められたのは、全体の1割程度だそうです。
これはじゃいさんも百も承知のようで、裁判を起こすことでこの税制にメスを入れたい、メディアからのスポットライトを当てたい、というのが狙いだそうです。
とは言え、裁判には6年ほどかかり、巨額の弁護士費用を擁する、と言われたじゃいさん。
自身のツイッターで現在寄付を募集しております。
6/18の夜段階で7000人、約400万円もの寄付が集まっているそうです。
競馬好きの方はぜひ寄付してあげてください。
(100円~1000円の範囲での寄付で、じゃいさん自身は「100円での寄付お願いします」とおっしゃっています)
また、投資家で知られる「テスタ」さんが「裁判にかかる費用を全額出します」とじゃいさんにご連絡したようで、こちらも注目が集まりましたね。
まとめ
前述した通り、競馬は全くやらない筆者ですが、今回の一件を通してじゃいさんの「競馬愛」に心打たれました。
今回記事を書くにあたり色々調べてみた結果、
ってか普通に考えて税金ボリすぎだろこれ、
って感じだったので、じゃいさんの活動が身を結んでくれることを祈ります。
ただ…
正直このボラれ方を知っちゃうと尚更競馬なんてできないですね…
そう考えると、日本の現行法と税制では「一時所得でちゃんんと納税をする」というのを前提に、「控除率の低い(つまり勝ちやすい)ギャンブルやる」しかないですね。
やはり還元率96%以上のオンカジが最強だと思った次第でした。